志高く「凛として」生きていく生徒の育成を教育目標にする「大分市立上野ヶ丘中学校」

1947(昭和22)年5月に開校した「大分市立上野ヶ丘中学校」は、JR「大分」駅の南東側、上野丘陵内の落ち着いた文教エリアにたたずむ中学校だ。

今回は同校の林吾郎校長先生に、同校がこれまで歩んできた歴史、現在の教育、そして校区の「大分市立金池小学校」などとの連携や、地域とのつながりについてお話をうかがってきた。

「大分市立上野ヶ丘中学校」林吾郎校長先生
「大分市立上野ヶ丘中学校」林吾郎校長先生

「凛として」の校訓のもと、豊かな「学び」と「絆」「志」を育む大分市立上野ヶ丘中学校

――まずは、「大分市立上野ヶ丘中学校」の概要から聞かせてください。

林校長先生:本校が開校したのは1947(昭和22)年5月です。2025(令和7)年2月現在の生徒数は541名で、1年生が6学級、2年生と3年生はそれぞれ5学級、そこに特別支援学級が3学級加わります。

「大分市立上野ヶ丘中学校」の武道場
「大分市立上野ヶ丘中学校」の武道場

林校長先生:本校区は上野の杜から望む大分平野の中央部に位置し、校区内には2校の小学校(「大分市立金池小学校」「大分市立長浜小学校」)があります。本校周辺は文教エリアとして落ち着いた環境が広がっています。

戦後間もない1951(昭和26)年に竣工した旧校舎は、その当時、文部省から鉄筋モデルスクールに指定され、そこから半世紀近くにもわたり、多くの生徒の学び舎でありつづけました。その校舎がなくなる際には、多くの方がさみしさを覚えたと思いますが、最新の機能を備えつつ、木の温もりも感じられる現在の校舎が2007(平成19)年に竣工し、新たな歴史が始まりました。

2007(平成19)年竣工の校舎内の様子
2007(平成19)年竣工の校舎内の様子

――「上野ヶ丘中学校」の特徴的な教育内容や授業があれば教えていただけますか?

林校長先生:本校では、「学びを深める力」「認め合い 磨き合う力」「たくましく生き抜く力」の育成を目指しています。

まず「学びを深める力」では、「学び合い学習」を積極的に推進しています。生徒たちが互いに協力し、教え合いながら協働的に学びを深めることで、知識・技能の習熟だけでなく、コミュニケーション能力や問題解決能力の向上にも結び付けています。

“凛として”の精神を守り続ける同校の林吾郎校長先生
“凛として”の精神を守り続ける同校の林吾郎校長先生

林校長先生:生徒たちの健全な成長のためには、「」を育むことも欠かせません。「認め合い 磨き合う力」を育てる取り組みとして、生徒一人一人の思いに寄り添う個別の支援を充実させるとともに、いじめを許さない雰囲気の醸成に力を入れ、いじめや不登校の未然防止に努めています。

最後の「たくましく生き抜く力」を育む活動としては、生徒の自治力を育む生徒会活動の充実や、心をつなぐ「先手あいさつ」と、心を磨く「無言掃除」の徹底を図っています。

「大分市立上野ヶ丘中学校」の中庭
「大分市立上野ヶ丘中学校」の中庭

林校長先生:また、多くの学校でも似たような取り組みをしていると思いますが、本校でもグループ単位で、話し合いのなかから合意形成を目指す「人間関係づくりプログラム」を実施しています。ゲーム的な要素を取り入れながら、生徒同士の良好な関係性の構築を図っています。

――「凛として 独立自尊 協力一致 たゆまずうまず」を校訓に掲げられていますね。

林校長先生:本校の第2代学校長がこの校訓を掲げました。当時と今とでは、教育環境や、教育に対する考えは大きく異なりますが、本校の伝統が積み重なっていくなかで、時代が求めていることをしっかり受け止め、必要なことを生徒に伝えていけたらと思います。

教育目標にも“凛として”の文字が
教育目標にも“凛として”の文字が

生徒たちの自主性を尊重する大分市立上野ヶ丘中学校

――通われている生徒さんについてですが、どのような印象を持たれていますか?

林校長先生:落ち着きがあり、真面目で一生懸命にがんばる生徒が多いように感じます。文教地区にあること、そして教育に熱心な保護者が多いことも関係しているのではないかなと思います。

「大分市立上野ヶ丘中学校」の図書室
「大分市立上野ヶ丘中学校」の図書室

――学校行事が充実していますが、各行事でスローガンを掲げられるそうですね。

林校長先生:どういった行事にし、どのようなことで成長を図りたいかの基になるのがスローガンです。本校ではスローガンの決定をふくめ、企画から運営まで生徒の自主性に任せています。もちろん教員はサポートしますが、自らが集団で話し合い、方向性を決め、実践することに意義があると考えています。スローガンについては、全校生徒の思いを汲み、執行部が話し合って決定します。

“凛として”は校歌の歌い出しにもなっている
“凛として”は校歌の歌い出しにもなっている

大分市立金池小学校などと小中一貫教育を行う

――上野ヶ丘中学校区における小中一貫教育と、生徒会と児童会との交流をはじめ、「大分市立金池小学校」「長浜小学校」との連携について聞かせてください。

林校長先生:大分市では、2009(平成21)年から、小中一貫教育の推進に力を入れています。環境が変わることで生じる中1ギャップの対策、異なる学校文化を理解すること、そして教育のスムーズな接続が主な目的です。

「金池小学校」「長浜小学校」との交流については、本校の生徒会と両校の児童会で話し合いをし、例えば挨拶をうながす運動など、同じ目標を掲げて取り組みます。

「大分市立金池小学校」
「大分市立金池小学校」

林校長先生:本校で開催する文化発表会には「金池小学校」「長浜小学校」の児童をお招きしています。また毎年2月の入学説明会では、本校の1年生が説明を受け持ちます。私たち大人からではなく、1学年上の先輩による発信は小学生にとって大きな刺激になっているようで、本校の生徒にとっても、年長者としての責任感を育むよい機会となっています。

――さつまいもの苗植えをはじめ、地域との連携も充実しているそうですね。

林校長先生:さつまいもの栽培は、本校にとって伝統行事のようなものです。苗植えから収穫まで自分たちの手で行い、収穫したさつまいもは子ども食堂に寄付しています。育てるだけではなく、自分たちが育てたものが喜ばれ、有意義に消費されていることの実感は、教育的にもよいことだと思います。

また、学校主導でありませんが、本校区はお祭りが盛んなこともあり、サポーターとして生徒が協力することがあります。小学生の間は、さまざまな面で地域から恩恵を受けます。これを踏まえ、中学生からは、徐々に地域に貢献していくことが大切ではないかなと思っています。

――学校周辺エリアの魅力を教えてください。

林校長先生:大分市の中心地にありながらどこか穏やかな雰囲気で、自然にも恵まれていることから住環境としても優れていると思います。本校周辺は文教地区としての趣があり、西に進んでいくと、幅100メートル・長さ444メートルのシンボルロード「大分いこいの道」があります。

「大分」駅北口の様子
「大分」駅北口の様子

「大分」駅の北側エリアにも、「大分県立美術館 OPAM」などの文化施設や商業施設なども充実しています。「金池小学校」前の通りは「遊歩公園」を経て「大分城址公園」とつながっています。利便性と文化的な施設が充実するこの街は、子どもたちの成長を見守る街として魅力的な場所だと思います。

大分県大分市・「大分市立上野ヶ丘中学校」
大分県大分市・「大分市立上野ヶ丘中学校」

大分市立上野ヶ丘中学校

林吾郎 校長先生
所在地:大分県大分市上野町4-5
電話番号:097-543-1278
URL:https://oita-city.oita-ed.jp/tyu/uenogaoka/
※この情報は2025(令和7)年4月時点のものです。

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